「本日付けでネルフ技術部赤木リツコ博士直属の部下となりました。これからよろしくお願いしま〜す」

 

いやに明るく、溌剌とした声。

その声を発したのは赤みがかった茶色の髪と、鳶色の瞳をもった少女。

厳粛というか、普段緊迫した空気漂う発令所にあって、似つかわしくないと言えばその通りであろう。

 

声を受けた側の人々の反応はほぼ同じであった。

何故ならばその少女の姿形は彼等のよく知った少女と同じだったからだ。

違いはその少女よりも整えた形跡がある髪型だけ。

それもほんの微々たる違いでしかなかったが。

 

「あらら、どうしたんですか?」

 

いや、もう一つ違いがあった。

目の前の少女は笑うことが出来た。

満面に弾けんばかりの笑顔。

彼等の知る少女とは明らかに違う点である。

それはつい先日、顔合わせをしたばかりの蒼い瞳をした少女のものとよく似ていた。

 

 

ガタンッ

 

この中で一番派手なリアクションをとって見せたのは髭親父であった。

陸に上がった金魚のように口をパクパク・・・

組織の長としてはあまりに間抜けな顔である。

髭親父の威厳30%ダウン確定。

 

「ユ、ユユユユ・・・」

 

驚きのあまり舌が上手く回らない髭親父。

 

「あら、どうかしましたか、ゲンドウさん」

 

少々肉体年齢に見合わぬ蠱惑的な笑みを浮かべるユイナ。

 

「ユイなのかっ!?」

「冗談です」

 

ズガシャァッッッッ

 

スパッと一刀両断。

・・・・・・うん。

現時刻をもって髭親父沈黙を確認した。

 

 

 

 

 

WING OF FORTUNE

第壱拾弐話 二人の転校生

 

 

 

 

 

「さってと、髭親父は放っといて。改めて、技術部主任赤木リツコ博士直属のサポートチルドレン赤木ユイナです。どうぞよろしくぅ」

 

もう一度、空気に合わない挨拶をするとユイナは会釈程度に頭を下げた。

ポカンとする面々の中で一番先に復帰してきたのは、おそらくその場で一番太い神経の持ち主であった。

 

「あなたリツコの何なの?少なくとも私は知らないわよ」

「なんなのといわれても・・・ねぇ、リツコ姉さん」

 

悪戯をしている子供のように楽しげに振り返った先には、同じように微笑むリツコの姿があった。

 

「そうね・・・まぁ、少し生意気な妹かしら」

「(ボソッ)肉体の歳は離れているけどね」

「ユイナ、聞こえてるわよ」

「うわっ、ごめんなさ〜い」

「こらっ、待ちなさい!」

 

いきなり発令所の中で追いかけっこをし始めた二人。

クールな顔しか見たことのないネルフスタッフにしてみれば先程以上の衝撃を受けていた。

怒っているというより、楽しんでいるという印象しか受けない。

この意外な一面は周囲にはかなり好意的に受け取られた。

元が美人であるだけに、お茶目なところを見せた日には人気も高まるのも当然である。

 

このとき、リツコは今までの人生の中で一番”可愛い顔”をしていたかもしれない。

 

 

 

「ちょっと意外だな。リツコさんってあんな顔するんだ」

 

傍観者であったシンジはしみじみとと言う。

もう少しで「可愛いな」と言ってしまいそうになり、慌ててそれを飲み込んでいたりもする。

理由は当然、自分の脇を固めている少女らである。

先日のやり取りで、二人の思い(実際に自分に向けられたものかは自信はないが)に気付かされたシンジとしては、彼女らが側にいるときの発言に注意するようになったのは当たり前のことだ。

それでも人の心の動きを察することが大の苦手であるのは変わりがない。

でればシンジはシンジでないような気がするがどうだろうか?

 

 

「あれが本当のリツコじゃないかしら。きっと今まではあたしみたいに、外への顔を作っていなきゃいけなかったのよ。リツコの場合は冷徹な科学者っていう鎧を着込んでいた。そうでなくてはここでいられなかった・・・」

「・・・あの人は苦しんでいた。今ならそう感じることが出来る」

 

こうしている間にユイナはリツコに捕まり、軽いお説教を受けていた。

全く違和感のない光景は見ていて胸が暖かくなるような、言うなれば家族の匂いがしていた。

 

「赤木博士・・・あとで執務室にきたまえ」

 

そんな中で、ようやくいつもの調子を取り戻したゲンドウは、こめかみに血管を浮かせてそう言うと冬月と共に姿を消した。

ま、ほとんどだれも聞いちゃいなかったが。

その後もしばらくは発令所は暖かな雰囲気に包まれていた。

 


 

「どういうことか聞かせてもらおうか」

 

いつものスタイルをとって幾らか平静を取り戻したゲンドウは、高圧的な態度でリツコを迎え入れた。

 

部屋の中は広いにもかかわらず、重圧感と圧迫感がある。

それが部屋の主によるものなのか、それとも天井と床に描かれたセフィロトの樹と呼ばれる図の醸し出す雰囲気なのはよくわからない。

もしかしたらその両方だろうか。

だとしたならば、本日はその重圧感も幾らか和らいでいるはずである。

 

 

「・・・弁解するつもりはありません」

「ならばあれがレイの体だと認めるのだな」

「”あれ”と呼ばないでもらえますか?彼女は既に私の妹です」

 

鋭い、刺すような視線で睨まれるとゲンドウは言葉に詰まった。

これまでネルフ内部においてこの様な視線を投げかけられたことは少ない。

組織を私物化するかの如く、完全独裁体制をとっていたのだから無理もないかもしれない。

今の彼の心境は飼い犬に手を噛まれたようなものだったのだろう。

 

「うぐ・・・」

「どうしますか?私を拘束しますか?」

 

立場はほぼ逆転していた。

詰問される側であった人間がいつの間にか入れ替わってしまっているように見える。

それぐらいリツコの態度には言葉にしにくい気構えのようなものが伺えた。

 

「・・・もちろん然るべき措置は・・・」

「構いませんよ。しかし、私はもうあなたの計画に荷担するつもりはありませんから。当然、ゼーレの計画にも」

「な、なんだと・・・!?」

 

ゲンドウは思わず席から立ち上がって声をあげた。

多少彼女が不都合となることをしても、得難い頭脳であることには間違いはない。

彼等の計画を実行するに当たって失うことの出来ない大切な”歯車”の一つなのだ。

よって、今回のことに関しても軽い戒め程度に処罰を下すつもりであった。

しかし完全に反抗の意志を見せた今、その判断に窮することとなった。

 

「私は犯した罪と共に生きます。一人の人間として。子供達と共に」

「今更降りるというのか!」

「脅しても無駄ですよ。それにレイももうあなたの言いなりになる人形ではありません。これでもまだいつものように修正可能だとでも言うのですか?」

「クッ・・・無論だ」

「・・・あなたのような人は何も覚えていないのですね」

「何を言っているのだ・・・?」

「ご自分の胸に手を当てて考えてください。出された処分は受けますから・・・それでは失礼いたします」

 

一応の敬意を払いつつ、リツコは部屋を後にした。

 

 

 

 

 

「・・・既に我々の足下から瓦解していたのだな。ゼーレの老人共もさぞ顔を蒼くすることだろうな」

 

それまで黙り込んでいた冬月が呟くもゲンドウは半ば放心状態にあって聞いてはいなかった。

これまで十余年、その生き方を全て否定され目の前が絶望の闇に包まれたのであろう。

冬月は一つ溜息をつくと外を見やった。

 

「所詮・・・人が神になろうなどということがそもそもの間違いであったということか・・・」

 

 

この後、頑丈そうなケースを抱えた加持リョウジがこの場を訪れたのだが、肝心のゲンドウは放心状態で全く要領を得ない状態であったそうだ。

 


 

この日、碇シンジはいつも以上の視線を浴びながら学校に向かっていた。

まあ美少女3人に囲まれて登校していればいやがおうにも目を引いてしまうものだ。

シンジの少し前を行く金髪の少女。

両脇を固めるそれぞれ蒼と茶の髪をした少女ら。

その光景を周囲の人間は男女問わずに羨望の眼差しで見ていた。

 

「何だか学校に来るのって久しぶりのような気がするんだけど・・・」

「気のせいよ碇君。あなたはちゃんと出席しているわ」

「う〜ん・・・・覚えがないなぁ」

 

 

 

「それじゃ、また後でね」

「レイ・・・あんた、また勝手な真似するんじゃないわよ」

 

下駄箱で靴を履き替えると、転校生である二人の少女は職員室へと向かう。

残された少女は心もち頬を赤らめてシンジの手を引いていた。

 

「あ、あの・・・綾波」

「なに?」

「いや、その・・・さ、手・・恥ずかしいんだけど」

「・・・そう、碇君は私と手を繋ぐのがいやなのね。わかったわ。もうしない」

 

悲しげに目を伏せるレイ。

すぐにシンジは慌ててフォローをするのだが、これは少女の策略である。

少年はそれに気付くほど鋭い感性を持ち合わせていなかったので、見事に落とし穴にはまることとなる。

 

「いやとかそういうことじゃなくてさ、ただ恥ずかしくて・・・」

「イヤなの?」

「・・・そりゃ・・・ちょっと嬉しいけど」

「ならかまわないわね」

 

ギュッと繋ぐ手に力を込める。

シンジは少しひきつりながらも、また悲しげな顔をされるのも困るので少し足早になって教室に逃げ込んだ。

そこに待っていたのは当然冷やかしという名の洗礼であったわけで・・・

さんざん冷やかされたのだが、レイには効果がないことをだいたい知っているクラスメートらの矛先はシンジに集中した。

 

 

 

 

数分後・・・

シンジは自分の机に突っ伏して、ぐったりと死にかけ人形になっていた。

 

「なんやセンセ、今日は綾波とえらい仲がええやないか」

「もう・・・勘弁してくれよぉ・・・(半泣き)」

「まぁまぁ、それよりあのエヴァのパイロットとは何があったんや?」

「アスカのこと?」

「ほぉ、もう名前で呼んどるんか。さては昨日、また何かあったな?」

 

十四歳といえば思春期真っ直中で、同年代の色恋沙汰は最も興味のある話題の一つだ。

たとえトウジが少々暑苦しい、前時代的な熱血野郎だったとしても、それは変わらない。

レイのことよりもアスカとの間のことの方が気になったのは、彼が何となくレイの思いに既に気付いているからでもある。

俗に三角関係というヤツになるのかどうか、その動向が気になったのだ。

・・・もう実は四角関係?になりつつあるのだが・・・

 

「え・・・っと、その・・」

 

トウジに覗き込まれた瞬間に、「気になって仕方ないのよ!」と叫んだ時のアスカの顔が脳裏に浮かんだ。

みるみるうちにシンジは赤くなって汗をかき始める。

 

「・・・そうなんやな、綾波やミサトさんだけでも飽きたらず、あの娘にも手を出したんやな」

 

シンジの反応から結論を導き出して、しみじみと何処か寂しそうに溜息をつく。

 

「ち、違うよトウジ!僕は・・・」

「綾波、ミサトさん、ユイナ、その上にまた一人手をだすとは男の風上にもおけんヤツやのぉ・・・・・・・・・・・・・・って、そういやユイナはどないしたんや?」

 

キョロキョロとトウジは目を凝らしながら辺りを見回す。

しかしその対象の姿は何処にも見受けられず、気配もない。

 

「あ、それは・・・」

 

ガラッ

 

シンジが何をかを言いかけようとしたときに教室の前のほうのドアが開いた。

教師が二人の少女を従えて入ってきて、子供らは大いにどよめいた。

 

「あ〜静かに。これから転校生を二人紹介する。まず赤木君、君から始めなさい」

「はい」

 

その内のショートカットの少女は短く返事をして、

黒板に達筆な字ででかでかと、赤木ユイナ参上!と書いた。

どよめいていた子供らは静まり返り、絶句して口をポカンと口を開けていた。

そのインパクトのためか、はたまた蒼い髪の少女の印象が薄いのか、両者の容姿が酷似していることに気付いたものはほとんどいなかった。

 

「というのは冗談で。アタシは赤木ユイナといいます。色々事情があってこの街に越してきました。色々と迷惑をかけることがあるかもしれないですけど、どうかよろしくお願いします」

 

小さく微笑んでからペコリと頭を下げてチョークを次の少女に手渡す。

 

少女は前者よりも幾分控えめに Asuka  Soryu Langray と書いた。

 

「惣流・アスカ・ラングレーです。よろしく☆」

 

言葉は少ないもののはち切れんばかりの笑顔で頭を垂れるアスカ嬢。

そうしていながらも、アスカは第三者によく見られようとする自分がまだあることに少し嫌悪を抱いた。

二人の美少女転校生にざわめく教室内にあって、リアクションが違う少年が二人。

 

「あ、あほな・・・あれユイナやないか。おい、シンジ!どないなっとんねん!?」

「トウジ、よくわかったね・・・。そのことについては後で話すよ。面倒な話が多くてさ」

「・・それとあのパイロット、なんや最初に見たときに比べると随分とイメージがちゃうな」

「色々あったから」

「まるで昔っから知っとるような口振りやな」

「う゛・・・ま、まあそれも後でね」

 

こうやって、こそこそと話す少年らを見つけたのはユイナだった。

口元に小さく笑みを浮かべると、注目を浴びたままシンジの目の前へと歩み寄った。

 

「ひとが自己紹介しているのに無視するとは良い度胸ね、バカシンジ」

「え、あ・・・」

「クスクス・・・バカシンジはどこまでいってもバカシンジね。昔から変わってないわ」

 

(そうだった。ユイナは僕の幼なじみって設定だったな)

心の中でそう確認すると調子を合わせるように立ち上がった。

 

「うるさいな。ユイナだっていつまでたっても変わってないじゃないか」

「あら、心外ね。ちゃんと成長してるわよ」

 

強調するように胸を張るユイナはどっかの誰かさんにそっくりである。

「おぉ〜」と歓声を上げる男子共。

シンジはこんなやり取りをしていると、何だかアスカが注目されるようになる前の気の置けない関係に戻った気がして嬉しくなっていた。

けれどその反面、自分はこの時間を本来の世界で取り戻さなければならないという思いも抱いた。

 

このユイナが幼なじみという設定は、転校直後にシンジと頻繁に会話をしてもいいように、不自然さを無くすための選択であった。

幼なじみとしてのアスカをベースにしていることもその理由の一つだ。

記憶の大元はアスカの記憶ではなくて、シンジの記憶であるために少々彼独自の解釈が為されている点も無いわけではないが、接するのがその本人であるのだから特に問題は無かろう。

 

「ちょっとユイナ!あんた何やってるのよ!」

「見てわからない?”幼なじみ”が再会を喜んでいるんじゃない。それともアスカは、アタシとシンジが話しているのが気に入らないのかなぁ?」

「グッ・・・あんたねぇ・・」

「アハハハ、冗談よ、冗談」

 

苛立ち始めたアスカをあっさりとかわすと、勝手に空いている席を見つけてそこに腰を降ろした。

不完全燃焼でもやもやした気分のアスカも、ユイナと同じように空席に着いた。

 

 

 

 

休み時間・・・

彼等の教室の中には二つの人集りが出来ていた。

一つは女生徒を中心としたもの。

もう一つは男子ばかりの集まりである。

前者はユイナの回りにあり、シンジとの関係を根ほり葉ほりと聞き込みを行っていて、ユイナは次々とその質問に答えるといった状況だった。

 

「へぇ、赤木さんって碇君とずっと一緒だったんだ」

「ええ、ちょっと前までは毎朝アタシが起こしにいってあげないといけないかったの。自分でご飯は作るくせにそういうところは抜けてるのよ」

「え?碇君って自分でご飯作ってるの?」

「そうよ。ほとんどプロ級なんだから」

「なんだかイメージが合いすぎてて笑えないなぁ」

「クスクス・・・確かにそうかもね。でも本当に凄いのよ」

「ふ〜ん・・・一度食べてみたいな」

 

 

 

さて後者の方はというと、アスカに言い寄る男子どもが累々たる屍の山を築き上げている最中であった。

 

(ふん・・くだらない連中)

投げかけられる質問に表面的には愛想をよくしていたが、アスカの内面は本当に退屈そうにしていた。

(人を外見で判断することしかできないのかしら?)

自分の容姿が他人の目を引くものだということはわかっている。

それに対する自負もある。

しかしそれだけで寄ってくる連中など、はっきり言ってアスカの眼中にはないのである。

内面を見ようとせずに、外見だけで判断するのは本能で光に集まる虫と何ら変わりがないだろう。

それどころか自分の欲を満足させたいだけなのだからなお始末が悪い。

独占欲であったり、他者に対する優越であったり。

多感な時期を大人の環境で生活してきたアスカにとって、それらを感じ取るのは容易であり、そしてそれの対応法もしっかりと身についていた。

(あたしのことなんて何にも分かっていないくせに・・・)

 

「惣流さん。ちょっといいかしら?」

「・・・え?」

 

機械的に受け答えをしているところに思わぬ声がかかってアスカは反応が少しおくれた。

顔を上げると、そこにはお下げ髪の少女が立っていた。

男子はその姿を見ると、ばつの悪そうな顔をして名残惜しそうにだんだんとアスカから離れていった。

 

「私はこのクラスの学級委員長をしている洞木ヒカリっていうの。もしよかったら、今日の昼休みか放課後にでも学校を案内するけどどうかしら?」

「・・・ヒ・・カリ・・・」

「?どうかしたの」

「う、ううん。なんでもないわ。せっかくだけど、あたし色々とやならきゃいけないことがあるから、また今度にしてくれるかな?」

「そう。でも何か困ったことがあったら言ってね。あなたも大変でしょう、あんな男子ばっかりに囲まれてちゃ」

 

冗談めかした口調でそういうと、ヒカリは恨めしそうにこちらを見ている男子達を見回した。

呆れていたのだが、それがわからないでもなかった。

同性であるヒカリからみてもアスカは魅力的であったし、なにより彼女は恋愛ごとを不純と言いきってしまうような頭の堅い人間ではなかった。

ちょっと妄想癖があって、ややもすると自分の想像で突っ走ってしまうこともあったが、それはそれ。(代表例:不潔よぉぉぉぉぉ!!ってきみの頭の中でどんな物語が展開されているんだい?)

学校のルールが絶対を考えるのではなく、ある程度の寛容さをもった懐の深い少女なのだ。

ついでと言ってなんだが、その中にあの少年の姿がないことを確認するという行為も含まれていたりもする。

 

「どうしてアタシのところばかり来るのかしら・・・」

「まあ赤木さんは碇君と幼なじみ以上って感じがするからね。それをみんなも感じたんじゃないかしら?それにほら、赤木さんのところは先に女子ばっかり集まっちゃったから、今更男子が近づけないってのもあるんだと思うわ」

「幼なじみ以上・・・か。そうかもしれないわね」

「惣流さんは碇君と知り合いなの?」

「う〜ん・・・いまのところはそう・・・仲間、かな。それと、あたしのことはアスカでいいわ。その代わりヒカリって呼んでいいよね?」

「もちろんかまわないわよ。でも仲間ってことは・・・」

「あ、どうせばれると思うけど、しばらく内緒にしておいてね」

「わかったわ。それじゃ、これからよろしくねアスカ」

「ん、よろしくヒカリ」

 

にこやかに握手を交わし、手を離したときにちょうど授業開始のチャイムが鳴ってヒカリは席に戻っていった。

しばらくの間アスカは手に残ったぬくもりを確かめるように、ジッと右手を見つめていた。

(ヒカリ・・・ちょっとだけ覚えているわ。そう・・親友だった。あたしの大切なトモダチ)

 

じんわりと胸の中が暖かくなっていく。

自然と綻んだその笑顔は、クラスの男子を更に魅了することとなったのは全くの余談である。

 


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後書きみたいなもの。

 

見て(読んで?)のとおり今回は少しノリが軽いです。

たまにはこういうのもいいかな、と。

 

ただ、ユイナの性格がどんどん壊れ始めているような気がしてならないです。

大元が学園アスカでありながら、もはや完全にオリジナルキャラになってしまっていますからねぇ。

まあオリジナルといえばオリジナルなんですけど。

「赤木ユイナ参上!」に関してはお遊びです。

性格の変化については自我の発達と考えてみてくださいな。(いい加減だなぁ・・・)

 

あとリツコに関して言えば、これはもう完全に妄想の世界ですね。

原作キャラの面影が消えかかっとります・・・ある意味ではリツコもオリジナルキャラですわな。

でもこういう明るいノリのリツコが好きなんですよね。

 

ついでに予告。

次回はちょいと早めの参号機絡みのお話です。

そんじゃ、また。

 

苦情・感想等お待ちしてますんでこちらか掲示板に(マジで)お願いします。

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