CD−R基礎知識


CD−Rの基礎的な技術情報です。
知らなくても困ることはあまりありません。
興味のある人はご覧下さい。


□Session1 プレスCDを知る
CDの構造
 CD−Rとの違いを知るために、まずはプレスCDの構造を簡単に説明します。プレスCDの多くは、Polycarbonate(ポリカーボネート)基盤にAluminum(アルミニウム)等の金属を蒸着した構造で、蒸着面が全く平らだったならばレーザー光線を鏡のように反射します。しかしプレスCDでは、基盤自体にピットと呼ばれるくぼみがあり、その部分にレーザーが当たるとレーザーは回折・散乱してしまい反射率が低下します。プレスCDでは、平らなランド部分とくぼんだピット部分でのレーザー光線反射率の違いを利用してデータを読み込みます。ランドとピットで明瞭な違いを得るために、ピットの深さをレーザー光線の波長の1/4とし、60%以上の反射率の違いを確保しています。



□Session2 CD−Rの構造

 CD−Rの場合は、Polycarbonate基盤とAluminum等の反射層の間に有機色素が塗布されています。この有機色素に比較的強いレーザーを照射することにより、分子構造が変化し物理的変化=破壊されます。有機色素と密着しているPolycarbonate基盤も影響を受け、プレスCDとは逆に突出します。この部分がピットとなり、データを記録していきます。この様な記録方式のためデータは1度しか書き込むことができず、記録面が強い光に当てられると有機色素が組織変化を起こして、全ての部分がピット状態に近づき読み出し不能となります。しかし、適切な環境で保存した場合は40年程度の長期保管能力があります。
 有機色素には、Cyanine(シアニン)・PhthaloCyanine(フタロシアニン)・Azo(アゾ)が用いられます。Cyanine系の色素は光に弱いため、耐光剤が入っていて記録面が青色に見えます。台湾系の激安メディアで耐光剤が少量しかはいってないため色が薄くなっている製品もあります。PhthaloCyanine系の色素では記録面が薄い黄緑色ですが、色素自体が光に強いため薄くても問題ありません。多くのCD−Rでは、反射層に銀を使用していますが一部で金を使用したPhthaloCyanine系のメディアは記録面は金色です。一般に色素の特徴から、PhthaloCyanine系は高速に強くCyanine系は低速に適していると言われますが、多くの製品が低速から高速までサポートしている様なので特に気にする必要はないでしょう。実際、色素の種類による違いより製造メーカーによる違いの方が大きいです。



□Session3 CD−RWの構造
Amorphous(アモルファス)合金での記録方法
 CD−RWでは、有機色素の代わりにAmorphous(アモルファス)合金を結晶状態とAmorphous(非結晶)状態の2種類の状態に変化させデータを記録しています。ErasePowerという中くらいの出力でレーザーを照射した場合は結晶状態となり、WritePowerという強い出力で照射するとAmorphous状態となります。Amorphous状態で維持するためにレーザー出力を落とし急冷し、またWritePowerで照射することを繰り返してピット部分を作り出します。規格(OrangeBook Part3)では、この相変化を最低1000回保証することになっていますが、実際はもっと多くできるので安心して使用できます。
 CD−RWを読み出す場合、「MultiRead(マルチリード)方式」に対応したドライブが必要です。これは、レーザーの反射率がプレスCDに比べて20%程度(CD−Rでは、65%以上)と非常に低くなっているため、ピックアップ増幅率をアップできるドライブでないと読み出せないからです。20倍速以上のドライブでは、ほとんどMultiReadに対応しているでしょう。



□Session4 CDに記録されるデータ EFM変調について

EFM変調で記録されるデータ
 CDにデータが記録される場合、ピット・ランドがそれぞれ0・1のBitに対応しているのではなく、ピット/ランドの変化部分が1、連続している部分が0となっています。さらに、ピット・ランド部分が連続しないようにEFM(Eight to Fourteen)変調と呼ばれる変換処理を施して、1と次の1までの間に0が2〜10個となるようにします。例えば、00000000は01001000100000、000000001は10000100000000と14Bitのデータに変換されて記録されます。



□Session5 CDに記録されるデータ フレームとセクタ

CDのフレーム構成
 1フレームは、上の図のように588Bitで構成されます。EFM変換され14Bitとなったデータ12セット、エラー修正用Parity(パリティ)4セットが2つと、フレーム同期用信号とSubChannel(サブチャネル)で構成されています。データはEFM変換で14Bit、元は8Bit=1Byteでので1フレームで24Byteです。SubChannelも同様にP-Channel〜W-Channelまでの8BitがEFM変調により14Bitとなっています。また、全てのデータ間に結合用ビットとして3Bit用意されていますが、CDのピット/ランドの量が同じくらいになるように調整する部分で、000/001/010/100のいずれかが選択されます。

CDのセクタ構成
 1セクタは、98フレーム集まって構成されます。1フレームで、データ24Byte、Parity8Byte、SubChannel1Byteですから、98フレームでデータ2352Byte、Parity784Byte、SubChannel96Byte(最初の2フレームのSubChannelは、同期用に用いられる)となります。この構成は、音楽CDでもデータCDでも共通です。音楽CDにはエラー修正が無いと言われる事がありますが、それは次のセクターレベルでの話で1フレーム24Byteのデータに対して8Byteのエラー修正ParityがどんなCDでも必ず付いています。



□Session6 CDに記録されるデータ セクタフォーマット

セクタフォーマット
 1セクタのデータ領域は、通常2352Byteです。では、この2352Byteをどのように使用するのでしょうか。音楽CDでは、2352Byte全てデータ(音楽)に使用します。PCで一般的なCD-ROM MODE1形式では、同期データ・ヘッダ・エラー検出・修正を付加して実際のデータは、2048Byteです。これは、PCが高速・ランダムにデータを読み出すために付加されています。エラー検出(EDC)・修正(ECC)もフレームレベルと併せて2重に行うことで、1Byteの狂いもなくデータが読み出せる仕組みになっています。CD-ROM MODE2/XA Form2では、2重のエラー修正が必要ない場合にエラー修正を省いてその分多くのデータ(2336Byte)を記録できるようにした形式です。似た形式でCD-ROM MODE2/XA Form1というのがありますが、この場合はCD-ROM MODE1と同じ構成で、データ領域は2048Byteです。



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